越前和紙の里はこんなところです。
全国でも珍しい「紙の神様」が祀ってあります ↓拡大クリック
越前和紙のシンボル、岡太神社・大瀧神社は1300年の歴史があります。この里に紙漉きの技を伝えたとされる川上御前が全国で唯一の「紙祖神」として祀られており、昭和59年(1984)県の重要文化財に指定されました。
現在の社殿は天保14年に建てられ、本殿と拝殿の2つの建物の複合社殿で、重なり合った山の峰を思わせる重厚で優美な桧皮葺き屋根が特徴です。日本独特の竹釘を使用した檜皮吹きで、材料となる檜の真皮部分は10年経つと再生し、何度でも採取することのできるエコな素材です。また、建物の扉などには、中国故事をテーマとしたすばらしい彫刻が施され、2008年、NHKのBSハイビジョン放送「夢の美術館-世界の名建築百選」でも紹介されました。
越前和紙の音が収録されています。
パイオニアの岡田さんの音の作品です。サウンドスケープというと使い古された言葉ですが、耳を澄まして心静かに聞くその土地の音には、遠い記憶を呼び覚ます作用があるようです。越前和紙の紙漉きの音が収録されています。結構迫力ありますよ。聞いてみてください。
紙漉きの音:ここから
映画になった越前和紙の産地「ヘソモリ」
越前和紙の工場やそれを取り巻く自然を舞台に、日本のへそにある「祠(ほこら)」を守る越前和紙の紙漉職人とその仲間が繰り広げる青春ファンタジー映画です。和紙の里の風土をよく映し出しています。
1970年代、和紙発祥の地といわれる福井県越前市。10歳のさとしは、友達のうっちゃん、エズ、おっさん、井口と山菜を採りに山に出かけた時、不思議な“へそ”を見つける。その中で、ある事件を目撃した4人は、“へそもり”のたけじいに助けられ、この事は誰にも話してはいけないと諭される。しかし、40年後、“へそ”が世間に知られてしまい…。大人になったさとしたちは、“へそ”の秘密を守るために立ち上がった。
ポニーキャニオンからDVDでも発売されています。
監督:入谷朋視
出演:永島敏行 渡辺いっけい 石丸謙二郎 若林豪 他
エリック・オルセナ著「Sur la route du papier-紙の道で」(フランス書)で取り上げられた越前和紙
フランスの有名な小説家であり、ミッテラン政権下では大統領の知恵袋であったエリック・オルセナ氏が、2012年「紙の道」を書くために、越前でも取材を重ね、産地の問屋や紙漉き場を回りました。
エリック・オルセナ氏は、社会科学の分野において世界的に有名な教育機関、パリ政治学院 (哲学・政治学専攻)、London School of Economicsで経済学を修め、1985年、フランス国務院メンバー指名、1998年、フランス学士院に推挙され、グローバリゼーションの諸相を追っ た「木綿の国の旅」で、文学的かつ思想的に優れたルポルタージュに贈られる2006年の「ユリシーズ国際ルポルタージュ文学賞」を与えられています。
かねてより、「水」や「木綿」に興味を示した彼が、今回「紙」に焦点を当て書き下ろした「紙の道」(原題:Sur la route du papier)は、世界の異なる地域の紙の伝統・近代的技術を紹介しながら、その素材の多様性と紙の今を語る「紙賛歌」となっています。多くのページが、越前和紙に割かれています。
小説にも描かれた「越前和紙の里」
■「弥陀の舞」
昭和を代表する小説家、水上勉の小説に「弥陀の舞」という作品があります。越前の和紙づくりを頑固に守り抜く紙漉き職人-弥平を縦糸に、薄幸の美しい漉き子-くみを横糸に織り上げた物語ですが、明治期のこの辺りの出来事も入念に調べられ、当時の和紙の里の雰囲気を彷彿とさせます。作中の弥平のモデルは、現在人間国宝の岩野市兵衛さんの先代で、水上さんがこの地を訪れた折、彼の紙づくりにかける情熱に触発されて、この小説を構想したとか。市兵衛さんが漉く奉書紙はそんなに大きなものではありませんが、小説の最後に出来上がる大きな紙は、名だたる日本画家御用達の岩野平三郎さんの紙と合体させたアイデアです。水上氏ならではの叙情的な文体が冴える佳作です。
■「花がたみ」
福井県出身の女性作家、津村節子の小説です。1965年「玩具」で第53回芥川賞受賞。
1992年に発表されたこの作品は、越前和紙の漉き場に働く結婚適齢期の女性の揺れる女心と郷土や家族への思慕を絡ませた作品です。この地の自然や紙漉き場に働く人の日常が描かれています。
「紙の岡本」北陸廣報映画社1952年製作
2010年5月5日 岡本・大瀧神社の紙祖神の祭り
2011年5月4日 神と紙の郷の春祭り(紙能舞)
2011年5月4日 神と紙の郷の春祭り(浦安の舞)
越前和紙裁断 紙断ち職人
全国に現在はここだけしか残っていない紙断ち職人の仕事ぶりです。詳細記事は「季刊-和紙だより」46号に掲載。